天井画プロジェクトについて
photo: Hiroaki Seo
大銀佐伯支店天井画プロジェクト April – August, 2014
(仮タイトル)series :saiki flash[櫓門•花吹雪•城山•祭り•歴史•空など]
ー フレスコセッコ技法による壁画制作ドキュメントー
ーprologueー
『大分銀行』に育てられたので『天井画』で恩返ししようとおもっている。
私の父は大分銀行に42年勤めた。
父の転勤で小学校の頃、肩書きは『転校生』(八幡小→今津小→渡町台小)だった。
佐伯、中津などで暮らした。
自己紹介の時いつも『絵が得意です』と答えた。
知らない土地で暮らし、たくさんのともだちができる転校生という立ち位置は嫌ではなかった。
時は流れて、絵を描く仕事をしている私の前に、バリッとスーツを翻しスラッと長身の甲斐一義さんが現れた。
大分銀行佐伯支店の支店長だと名乗られた。『大分銀行』、その響きに背筋が伸びる。
『市民に開かれた銀行をつくりたい。壁画を観に立ち寄ってくれるような銀行がいい。』
その直感とフレッシュ感を心地良く感じた。
『佐伯が好きだ。特に城山からみる佐伯の街、遠くの島々、豊後水道、番匠の流れ、美しい佐伯が好きだ。
食べ物は旨いし、人はいい。もっともっと元気にしたい。』言葉に想いが溢れていた。
図面を見て天井画にしましょうと提案した。
東九州設計の梅田さんがその希望を設計に組み込んでくれた。
『佐伯』とはどんなところか?
桜の頃、櫓門あたりでスケッチしたり、数十年ぶりに城山山頂から街を眺めてみたりした。
佐伯の春祭り、露店が軒を連ね賑わいの風景、文化会館庭では茶会などが催されており、立礼席で点前を頂戴した。
鳥の声、風の音、花びらに茶の香り。
国木田独歩記念館に立ち寄った。
記念館の坂本爺様のガイドで佐伯の殿様のお墓を巡る散歩に行ったりした。
風情ある白壁に程近いところにあった〝川辺先生のお絵描き教室〟〝ルンビニ幼稚園〟
どこを歩いても幼い頃の幻影がよぎる懐かしい場所。
『佐伯』は自分の中に在る。
目を閉じて深呼吸すると、長閑な春の調和が俄に蠢きはじめる。
イマジネーションの竜巻が脳裏を乱舞している。
花吹雪が舞う光景に記憶《a scene》が覚醒《a flash》し始めた。
こうして制作モードに入ってゆく。
完成は8月。
壁画家・佐倉康之
大分銀行佐伯支店天井画制作プロジェクト